「感傷」

  •    感傷

    白牡丹
    咲ききわまりて
    くずるるや
    黄金のしべを離るる
    花びら ひとつ
    病む部屋の窓に
    舞い入りぬ
     耐えがたき感傷に
     身をやく吾を
     知るや 知らずや
    ふとさしのべし てのひらに
    花びらは ふるれども
    頬よする吾をいといて
    地に落ちゆきぬ
     病む部屋の窓に
     夕ぐれは せまりて
     うすやみに散る
     白牡丹
    新しき感傷
    ふたたび吾をつつみて
    ああ 私は
    プラトニックに生きた