「てのひらの上で」

  • 「おっかさんが送ってくれた餅をな、金網で焼くだ。焼けた餅を両手で、こう、すーっと引っ張ると持ちに書いてある字が一緒に伸びるだよ。なんて書いてあるか、俺ァ知ってるさ、けど読めねえだ。あわてて餅を口に放り込んだっけ‥‥‥」
    息子に送るお餅の一枚一枚に「成る」だとか「本気」だとか、自分の想いを食紅で書いてあったとのこと。

    あるおぼろ夜にお母さんの想い出を、しみじみと話してくれたSさんでした。
  • 大勢で暮らしていると
    遠慮することや
    ゆずりあいを
    覚えていきます
  • 明るく振る舞うときの私に
    「大丈夫か? ── しっかりしろよ」
    と言った父
    実父には
    わかっていたのでしょうか?